ハラスメントを受けていて困っている

 妊娠や出産、育児、介護のための制度が整備されつつあるものの、さまざまな休暇制度等を理由とする不利益扱いが公務民間問わず、生じています。
 2017年1月から、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法が改正され、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントについても防止措置を講じることが事業主に義務付けられ、公務職場でも、人事院規則10-15(妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントの防止等)が、2017年1月から施行されています。

パワーハラスメントとは

 2020年6月1日に人事院規則10-16(パワーハラスメントの防止等)が定められました。人事院規則では、パワーハラスメントを『職務に関する優越的な関係を背景として行われる、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動であって、職員に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、職員の人格若しくは尊厳を害し、又は職員の勤務環境を害することとなるようなもの』と定義しています。

 パワーハラスメントは、行為者と受け手の関係性に着目した概念であり、言動が行われる場所や時間は問いません。また、同一省庁の職員間のものに限られません。他省庁の職員からの言動や、国家公務員以外の者への言動もパワーハラスメントになり得ます。

1 暴力・障害

書類で頭をたたく。

部下を殴ったり、蹴ったりする。

相手に物を投げつける。

2 暴言・名誉毀損・侮辱

人格を否定するような罵詈雑言を浴びせる。

他の職員の前で無能なやつだと言ったり、土下座をさせたりする。

相手を罵倒・侮辱するような内容の電子メール等を複数の職員宛てに送信する。

3 執拗な非難

改善点を具体的に指示することなく、何日間にもわたって繰り返し文書の書き直しを命じる。

長時間厳しく叱責し続ける。

4 威圧的な行為

部下達の前で、書類を何度も激しく机に叩き付ける。

自分の意に沿った発言をするまで怒鳴り続けたり、自分のミスを有無を言わさず部下に責任転嫁したりする。

5 実現不可能・無駄な業務の強要

これまで分担して行ってきた大量の業務を未経験の部下に全部押しつけ、期限内に全て処理するよう厳命する。

緊急性がないにもかかわらず、毎週のように土曜日や日曜日に出勤することを命じる。

部下に業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせる。

6 仕事を与えない・隔離・仲間外し・無視

気に入らない部下に仕事をさせない。

気に入らない部下を無視し、会議にも参加させない。

課員全員に送付する業務連絡のメールを特定の職員にだけ送付しない。

意に沿わない職員を他の職員から隔離する。

7 個の侵害

個人に委ねられるべき私生活に関する事柄について、仕事上の不利益を示唆して干渉する。

他人に知られたくない職員本人や家族の個人情報を言いふらす。

人事院資料『職員は、ハラスメントをしてはならない』参照

セクシャルハラスメントとは

 1999年、男女雇用機会均等法において、職場におけるセクシャルハラスメントの防止措置が事業主に義務つけられ、公務の職場でも、1999年4月に人事院規則10-10(セクシャルハラスメントの防止等)が施行されました。

 人事院では、セクシャルハラスメントを、以下のように定め、セクシャルハラスメントの防止及び排除がとりくまれています。しかし、公務民間問わず、セクシャルハラスメントに関する相談は未だ根絶していないのが、現状となっています。

① 他の者を不快にさせる職場における性的な言動

職員が他の職員を不快にさせること

職員がその職務に従事する際に接する職員以外の者を不快にさせること

職員以外の者が職員を不快にさせること

② 職員が他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動

セクハラの具体例

発言

性的な関心、欲求に基づくもの

  • スリーサイズなど身体的な特徴を話題にする。
  • 卑猥な冗談を交わす。
  • 性的な噂を立てたり、性的なからかいの対象とする。

性別により差別しようとする意識等に基づくもの

  • 「男のくせに根性がない」、「女には仕事を任せられない」などと発言する。
  • 「お坊ちゃん」、「お嬢ちゃん」、「おじさん」、「おばさん」などと人格を認めないような呼び方をする。
  • 性的指向や性自認をからかいやいじめの対象としたり、性的指向や性自認を本人の承諾なしに第三者に漏らしたりする。

行動

性的な関心、欲求に基づくもの

  • 食事やデートにしつこく誘う。
  • 身体に不必要に接触する。
  • 性的な内容の電話をかけたり、手紙・Eメールを送る。
  • 性的な関係を強要する。

性別により差別しようとする意識等に基づくもの

  • 女性であるというだけで職場でお茶くみ、掃除等を強要する。
  • 酒席で、上司のそばに座席を指定したり、お酌等を強要する。

参考

「性的指向・性自認・性的少数者・LGBT」について

性的指向(Sexual Orientation)とは

人の恋愛・性愛がいずれの性別を対象とするかを表すものであり、具体的には、恋愛・性愛の対象が異性に向かう異性愛、同性に向かう同性愛、両性に向かう両性愛などを指す。

性自認(Gender Identity)とは

性別に関する自己意識のことをいう。

性的少数者とは

性的指向あるいは性自認に関するマイノリティのこと。

Llesbian(レズビアン)

同性を好きになる女性

GGay(ゲイ)

同性を好きになる男性

BBisexual(バイセクシャル)

性別に関わらず、異性を好きになることもあれば同性を好きになることもある人

TTransgender(トランスジェンダー)

出生届の性別と、自認する性別が一致していない人

※性的少数者は、上記の「L」「G」「B」「T」に限られません。

専門家によると、「性的指向・性自認は、人間一人ひとりの人格に不可欠な「性のあり方」であるとともに、性に関する尊重すべき個性であり、趣味・嗜好の問題ではなく、また、変更が難しく、変更する必要もないもの」とされています。

妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントとは

 妊娠や出産、育児、介護のための制度が整備されつつあるものの、さまざまな休暇制度等を理由とする不利益扱いが公務民間問わず、生じています。

 2017年1月から、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法が改正され、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントについても防止措置を講じることが事業主に義務付けられ、公務職場でも、人事院規則10-15(妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントの防止等)が、2017年1月から施行されています。

妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントの具体例

典型例

不利益取扱いの示唆

育児休業の取得を上司に相談したところ「次の昇格はないと思う。」と言われた。

業務上の必要性に基づかない制度の利用等の阻害

介護休暇の利用を周囲に伝えたところ、同僚から「自分は利用しないで介護する。あなたもそうするべき。」と言われた。「でも、自分は利用したい。」と再度伝えたが、再度同じ発言をされ、利用をあきらめざるを得ない状況になった。

繰り返し嫌がらせをすること

「自分だけ短時間勤務をするのは周りを考えていない。迷惑だ。」と繰り返し又は継続的に言われ、勤務する上で看過できない程度の支障が生じた。

妊娠(不妊治療含む。)、出産、育児又は介護に関する否定的な言動は、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントの原因や背景となります。

具体例

業務上の必要性に基づく言動

上司

業務体制を見直す目的で、育児休業の利用の希望期間を確認すること。

業務状況を考えて、翌日に妊婦健診に行く職員に、その次の妊婦健診日について特定の日を避けることができるか、相談すること。

同僚

自分がフレックスタイム制を利用する目的で、同僚のフレックスタイム制の内容を尋ね、変更を相談すること。

※相談が実質的に強要になっている場合は、ハラスメントになり得ます。日頃から適切なコミュニケーションをとることが重要です。

困ったときには、労働組合に相談ください

 ハラスメントの被害を深刻にしないために、一人で抱え込まずに、職場にある労働組合の役員までご相談ください。

 国土交通省の職場には、国土交通労働組合があります。

 国土交通労組では、ハラスメントの相談があった場合には、職場の労働組合役員が相談にのり、何らかの対応が必要と判断した場合には、所属長や管理職等に対して、ハラスメントを是正するよう申し入れを行ったり、団体交渉で改善を求めたりなど行います。