声明談話・大会決議など

すべての国民・労働者の生活改善をめざし、共同の輪を広げ、奮闘しよう(談話)

2025年12月23日

国土交通労働組合

書記長 後藤 智春

 

 

 2025年人事院勧告にもとづく国家公務員の月例給(平均15,014円・3.62%)及び一時金(0.05月分・年間4.65月分)を引き上げる内容などを盛り込んだ「改正給与法」が12月16日の参議院本会議において可決・成立しました。これにより、34年ぶりに3%を超える月例給の引き上げが実施され、すべての世代で賃金改善がなされるものの、長引く物価上昇のもとで、生活改善には不十分となっています。くわえて、2024年勧告で強行された不利益変更が解消されていないほか、定年延長職員や再任用職員、定員外(非常勤)職員の処遇改善が置き去りにされており、不満の声が高まっています。

 

 私たちはこれまで、国家公務員とその家族の生活改善はもちろん、公務員賃金が900万人の労働者に影響することから、改善部分の早期実施等を求めてきました。しかし、政治的な背景のもとで、「改正給与法案」の閣議決定が12月8日にずれ込み、法案の成立が遅れたことから、12月期一時金及び給与の支給日における改善に間に合わず、事実上の「凍結」状態となりました。同様の事態は2年連続であり、直近5年で3回も発生していることは、憲法で保障された労働基本権が制約されている国家公務員の代償措置である人事院勧告を軽視する重大な権利侵害であり、容認できません。さらに、こうした事態は各職場の給与事務担当者の業務負担増につながり、職場内に混乱を生じさせているほか、地方自治体や独立行政法人などにおける賃金改定を遅延させるなど、広範囲に影響を及ぼしています。

 

 また、「改正給与法案」の審議では、官民給与の比較対象企業規模について本府省のみを1,000人以上に引き上げ、地方支分部局との機関間格差を拡大させることに対する問題が取り上げられました。そのなかで、多発する激甚災害の対応に追われる地方整備局や地方事務所において、業務の特殊性、困難性が高まっている実態等が紹介されています。私たちは全国津々浦々で広範囲かつ国民の安全・安心に密接に関連する業務を担うことによって国土交通行政を支えており、地方支分部局も含めて早急に比較対象企業規模を1,000人以上に引き上げるべきです。本府省、地方機関を問わず、行政課題が全体として複雑化、多様化していることは人事院総裁も認めているほか、地域別最低賃金の引き上げや全国一律最低賃金制度の実現などで地域間格差の是正が求められるなかで、2024年勧告にともなう地域手当の見直しにくわえて中央と地方の格差拡大につながる今回の措置が講じられることは、国民の願いにも逆行するものであり、政府が格差是正にむけた政策を実行することが求められます。

 

 私たち国土交通行政を担う多くの職員は、限られた要員のもと、業務が複雑・困難化し、長時間過密労働が横行するなど、職場が疲弊するなかにおいても、懸命に業務を遂行しています。こうしたなかで、心身を患い休職を余儀なくされたり、職場を去る職員が後を絶たず、欠員が生じている職場も少なくありません。国家公務員の人材確保が依然としてきびしい状況にあることは、政府及び人事院も認識しており、「改正給与法案」の審議において人事院総裁は、超過勤務縮減にむけて不退転の決意で臨むことを表明しています。今後、公務を支える職員を確保し、国民が求める行政サービスを着実に執行するためにも、いまこそ、一人ひとりが意欲とやりがいを持っていきいきと働き続けられる職場環境を整えることが不可欠であり、そのためにも、公務職場の魅力を高める必要があります。

 

 いま、長引く経済不況のもとで、政府の責任において、日本の低賃金構造を固定化させている根本的な問題点を早急に解消し、労働者全体の賃金引き上げ、ひいては、わが国の経済回復につなげることが求められています。私たちは、不十分ながらも改善された今回の内容をはじめ、最低賃金の引き上げなど、この間のとりくみに確信と展望を持つとともに、引き続き、真に生活改善につながる大幅賃上げを求めるほか、国土交通行政の体制拡充等にむけて、2026年春闘でのとりくみを強化する必要があります。

 国土交通労組は、引き続き、交通・運輸、建設産業の労働者、公務・公共サービスにかかわる労働者とともに、公務労働者の労働条件改善はもとより、すべての国民・労働者の生活改善にむけて、官民共同、さらには、国民的たたかいを大きく広げ、賃金・労働条件改善をはじめとする諸要求の実現をめざします。そのためにも、全国のなかまをはじめ、すべての労働者のみなさんに私たちの運動への結集を呼びかけます。

 

以上

改正給与法の成立にあたって(談話)

一覧に戻る