声明談話・大会決議など

労働者本位の給与改善をめざし、引き続き、すべての国民・労働者とともに奮闘しよう(談話)

2024年12月24日

                                  国土交通労働組合      

                                    書記長 後藤 智春

 

 

 2024年人事院勧告にもとづく国家公務員の月例給(平均11,183円・2.76%)及び一時金(0.10月分・年間4.60月分)を引き上げる内容などを盛り込んだ「改正給与法」及び「改正国家公務員育児休業法」が12月17日の参議院本会議において、成立しました。この間、改善部分の早期実施を求める私たちの切実な声のもと、早期成立にむけて奮闘されたすべての方に深く敬意を表するものです。その一方で、12月期一時金への反映や国家公務員給与の社会的な影響等をふまえれば、早期に臨時国会が召集され、遅くとも11月末までに法案が成立すべきところ、衆議院の解散・総選挙という政治的な背景のもとで後ろ倒しになったことは、労働基本権を制約された私たちにとって容認できるものではありません。

 また、月例給の引き上げでは、若年層の給与改善に重点を置きつつ、中高年層を含めた俸給表全体の改定となったとはいえ、長引く物価上昇のもとで、依然として生活改善に遠く及ばないものとなっています。さらに、「給与制度のアップデート」では、通勤手当の改善や再任用職員の手当拡大など、私たちの切実な要求が一定反映されたものの、地域手当の大くくり化や配偶者にかかる扶養手当の廃止、寒冷地手当において、私たちが繰り返し求めてきた「不利益変更の回避」が反映されず、なかでも、地域手当については、法案審議の際に最低賃金や保育の公定価格への悪影響などの問題点も指摘されており、到底、認められるものではありません。

 

 私たちはこの間、一貫して「誰一人の賃下げも許さない」立場で、政府及び人事院に対し、労働者本位の給与改善を求めるとともに、「給与制度のアップデート」をはじめとする内容について、労働組合との交渉・協議を尽くすよう、各種行動をつうじて、職場のなかまの声をくり返し訴えてきました。

 しかし、私たちの労働基本権制約の代償機関であると同時に職員の利益擁護機関である人事院は、全国のなかまの切実な声を無視して、職員の不利益変更をともなう勧告を労働組合との合意や納得もなしに一方的に強行し、政府もこれに追従したことに対し、強い憤りを禁じ得ず、私たちはあらためて強く抗議するものです。

 私たち国土交通行政を担う多くの職員は、限られた要員のもと、業務が複雑・困難化し、長時間過密労働が横行するなど、職場が疲弊するなかにおいても、懸命に業務を遂行しています。こうしたなかで、心身を患い休職を余儀なくされたり、職場を去る職員が後を絶たず、欠員が生じている職場も少なくありません。国家公務員の人材確保が依然としてきびしい状況にあることは、政府及び人事院も認識しているほか、法案審議において多くの議員が指摘しています。今後、公務を支える職員を確保し、国民が求める行政サービスを着実に執行するためにも、いまこそ、一人ひとりが意欲とやりがいを持っていきいきと働き続けられる職場環境を整えることが不可欠であり、そのためにも、公務職場の魅力を高める必要があります。

 

 いま、長引く経済不況のもとで、政府の責任において、日本の低賃金構造を固定化させている根本的な問題点を早急に解消し、労働者全体の賃金引き上げ、ひいては、わが国の経済回復につなげることが求められています。そのためにも、900万人以上の労働者に影響する国家公務員の給与を改善させることがきわめて重要となっています。

 私たちは、不十分ながらも改善された今回の内容をはじめ、最低賃金の引き上げなど、この間のとりくみに確信と展望を持つとともに、引き続き、「誰一人の賃下げも許さない」立場で、改正給与法等の成立による不利益変更を許さず、真に生活改善につながる大幅賃上げを求めるほか、国土交通行政の体制拡充等にむけて、2025年春闘でのとりくみを強化する必要があります。

 国土交通労組は、引き続き、交通・運輸、建設産業の労働者、公務・公共サービスにかかわる労働者とともに、公務労働者の労働条件改善はもとより、すべての国民・労働者の生活改善にむけて、官民共同、さらには、国民的たたかいを大きく広げ、賃金・労働条件改善をはじめとする諸要求の実現をめざします。そのためにも、全国のなかまをはじめ、すべての労働者のみなさんに私たちの運動への結集を呼びかけます。

 

以上

「改正給与法」等の成立にあたって(談話)

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