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東京国際空港衝突事故をうけての特別決議

東京国際空港衝突事故をうけての特別決議

2024年1月2日に東京国際空港にて発生した航空機衝突事故をうけ、現場で業務にあたっていた多くのなかまが強い精神的ストレスを負うこととなった。現地のみならず、全国の航空管制官をはじめとする多くのなかまもまた、様々な報道に接し、同様のストレスに直面している。

国土交通労組はかねてから航空安全推進連絡会議に結集し、CISM(Critical Incident Stress Management:惨事ストレスマネージメント)のとりくみを行い、事故や重大インシデントをはじめとする惨事に直面した組合員のメンタルケアを実施し、当局にも官主導のCISMの導入を求めてきた。今回の事故を受けて、全国の組合員が即時にメンタルケアを受けられるべく、とりくみを強化するとともに、当局にも制度化を強く求めていくことを決意する。

 

 私たちは、今回の事故に接し、個人責任を追及させないとりくみの重要性を再認識した。事故の原因究明のため、運輸安全委員会による事故調査がとり行われている。本来、事故調査は再発防止にむけてのみ行われるべきであるが、わが国における法体系では、司法当局の捜査により、個人の過失が追及される。この法体系は国際民間航空条約第13附属書から逸脱するものであり、くわえて、事故調査結果が裁判の証拠として採用されることも同条約では制限している。司法の追及がなされる現状においては、真の原因究明を阻害することは明らかであり、事故の再発防止につながらないことを再認識し、個人責任の追及を断じて許さないとの強い意志のもと、全力でとりくむことを確認した。

 

 今回の事故をふまえ、当局は「航空の安全・安心の確保にむけた緊急対策」を講じた。その対策のひとつに、航空管制官による監視体制の強化として、滑走路への誤進入を常時レーダー監視する人員を全国の主要7空港に配置する対策が打ち出されている。この対策は、新規人員を配置することなく、既存の人員の役割分担を調整することで配置するとしており、現場職員の労働強化にほかならない。私たちは2001年の日航907便事故以降、安全体制強化のための要員配置を要求し、一部は認められてきたものの、その数はまだまだ不十分である。この背景にあるのが「総定員法」であり、「定員合理化計画」である。政府は、国家公務員の人件費削減を推し進め、その結果、航空管制の現場では一人あたりの取り扱い機数が増大しているものの、相次ぐ定員削減により、増大する航空交通量に見合う人員配置がなされていないため、現場のなかまは疲弊のなかで業務を遂行している。この現状は、管制職場、航空の職場に限らず、私たち国土交通省のいずれの職場でも同様であり、総定員法を打破し、新たな定員合理化を許さないとりくみに一致団結してとりくむことを意志統一した。

 

 なかまをまもるため、そして安全・安心の公務公共サービスを提供するため、「個人責任を追及させないとりくみ」、「総定員法を打破し、新たな定員合理化を許さないとりくみ」に一致団結し、共闘組織とも連携しながら、組織の総力を挙げて奮闘することをここに決意する。

 

2024年2月5日

                  国土交通労働組合 第13回中央委員会

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