2023 年春闘アピール

国土交通労働組合は、2月5から6日にかけて、東京都内において、中央委員、オブザーバー、来賓、本部役職員あわせて、135人参加のもと、第12回中央委員会を開催し、2023年春闘方針を決定した。

 世界ではいまもなお、様々な理由により各地で紛争が起き続けているが、ロシアによるウクライナ侵攻をはじめ、北朝鮮によるミサイル発射訓練、中国による台湾有事などは、日本にとっても対岸の火事ではない緊迫した状況が続いている。そのため、政府与党は、「敵基地攻撃能力」の保有や国家安全保障戦略などを新たに記した「防衛3文書」を閣議決定し、今後の防衛費予算を5年間の規模を43兆円に膨張させようとしている。さらには、この状況を理由に憲法改正の動きを加速することが想定される。私たちは、政府が推し進めようとしている戦争する国づくりに対峙して、国民のいのちと生活をまもる国民的運動に結集することを確認した。

 一方、国内に目をむけると、新型コロナウイルス感染は依然と強弱を繰り返すばかりで収束を見通すことが難しい状況にある。こうしたなか岸田政権は、新たな行動制限は行わず、最大限の警戒を続けながら社会経済活動の回復を推し進める一方で、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けをインフルエンザと同様の5類に引き下げる方針を示したが、医療費の個人負担など、感染防止については国民の判断に委ねようとしている。

 賃金をめぐっては、約30年間、日本の労働者の賃金は改善されておらず、長期化するコロナ禍に追い打ちをかける燃料費や物価の高騰による家計負担増は国民生活をよりいっそう悪化させている。そのようななか、岸田首相は、経済界に対しても、今年の春闘で物価上昇率を超える賃上げ実現への協力を求めるとともに、政府としても公的部門で働く労働者などで同様の賃上げの確保をめざす方針を示した。また、経団連や経済団体も労働者の賃上げによる内需拡大や物価高への対応に言及するなど、賃上げに対する機運が高まっている。2023春闘こそ、官民一体となり、労働者・国民の生活向上にむけた国民春闘を構築し、物価上昇を上回る大幅賃上げを勝ちとる絶好のチャンスである。

 しかし、昨年成立した改正給与法では、月例給については若年層に厚く配分されたにもかかわらず、時給換算で最低賃金を下回る職場が拡大しており、労働者全体の賃金底上げの必要性をあらためて確認した。また、定員外職員の賃金改善についても、政府側を4月遡及の姿勢にたたせる到達点を築いたが、現時点でも国土交通省はこれに応じた賃金改善を行っていない。引き続き、均等待遇を求めてとりくみを強めるとともに、臨時勧告を含めた大幅賃上げを求めるとりくみをすすめることを確認した。

 国土交通行政を担う組織・体制の拡充を求めるとりくみについては、体制拡充署名を中心に全国各地のなかまの奮闘により、国会議員の理解が広がり与党議員からも「公務員を削減しすぎた」という声が多くなってきた。これは私たちが、職場内外で粘り強くとりくみを広げてきたことによる成果であり、引き続き国民世論に訴えながら体制拡充をめざすことを確認した。また、深刻な要員不足を克服し、公務・公共サービス拡充を求める多くの人々からの期待に応えるべく、災害対応をはじめ、交通運輸・建設・気象行政など国・独立行政法人への充分な体制を構築し、いまこそ、政府の長年にわたる定員合理化計画を撤回させ、この間の純増の成果に自信と確信を持ち、引き続き、組織・体制の拡充と職員の確保を求めて、体制拡充署名を旺盛にとりくむ決意を固めた。

この間、組合員同士の交流の重要性が明らかになる一方で、真正面からとりくんでいるからこその悩みも発言された。いまこそ労働組合の出番といえる状況下で、よりいっそうのなかまとの交流や団結を強化し、組織を大きくすることが求められている。また、「組織拡大強化3か年計画」も折り返しを迎えるなかで、組織再生にむけたとりくみも報告された。国土交通労働組合が一体となり、すべての支部で2年目のとりくみを継続、発展させ、組織強化拡大のとりくみを成功させていくことを意志統一した。

国土交通労働組合に結集するなかまのみなさん。
大幅賃上げ、大幅増員、労働環境改善、そして、平和な社会をつくり、労働者の雇用をまもり、すべての国民が安全で安心して暮らせる社会の実現をめざし、官民一体となってとりくもう。本中央委員会で決定された方針を実践し、あわせて、統一地方選挙勝利でよりよい社会をつくるため、2023年春闘勝利をめざし、全力でたたかおう。

2023 年2月6日

国土交通労働組合 第12 回中央委員会