国土交通労働組合は、9月7日から8日にかけて、滋賀県大津市において代議員、オブザーバー、来賓、本部
254 名参加のもと第5回定期大会を開催し、1年間のたたかいを総括するとともに、今後1年間の運動方針を決
定した。
安倍政権は「戦争する国づくり」をめざし、憲法違反の安保関連法案の審議をすすめているが、今まさにヤ
マ場を迎えている。安保関連法案は「平和」の文字を冠しているが、その実態は憲法でいう「平和」とは全く
異なるものであり、平和を願う多くの国民からの反対の声は世論を大きく変えるとりくみに発展している。憲
法第 99 条で憲法尊重擁護義務がある私たち国家公務員は、法案成立を断固阻止する立場に立ちとりくみに結
集していくことと同時に、戦後70年の節目の年に「平和はすべての礎である」ことを再確認した。
東日本大震災が発生してから4年6か月が経過しようとしている。道路や施設、交通などのインフラ復旧は
遅々として進んでおらず、被災地においては未だ20万人を超える方々が避難生活をおくり、8万人の方々が仮
設住宅での生活を余儀なくされ、生活再建の目処が立てられない状況となっている。また、福島第一原発の現
状は収束とはほど遠く、政府は安全・安心をないがしろにしてでも原発の再稼働に固執し、川内原発1号機の
再稼働に踏み切った。私たちはこのような政府の姿勢を断じて許さない。
公務員賃下げ違憲訴訟においては、東京地裁は昨年10月30日「人事院勧告を無視した給与減額であっても
憲法に違反しない」として、私たちの主張を一顧だにせず、政府の筋書に沿った論理矛盾に満ちている不当判
決を行った。公務員の無権利状態を許さないためにも、東京高裁において勝利判決を勝ちとるべく全力でたた
かうことを確認した。
人事院は国会と内閣に対し、一般職国家公務員の給与等に関する勧告と報告を行った。月例給や一時金につい
て2年連続改善されたことは、この間の全国の職場のたたかいと官民共同のたたかいが実を結んだものである。
しかし、生活改善ができる賃金水準にほど遠く、現給保障の枠を超えないばかりか、地域手当など「給与制度の
総合的見直し」を強引に押しすすめたことは大きな怒りをもつものである。
また、労働強化と公務職場への混乱をもたらすなどとし反対してきた「フレックスタイム制」をすべての職員
を対象に導入する勧告を強行した。「フレックスタイム制」が導入されれば、窓口を抱える職場などでは特定の
時間帯での体制が脆弱となり、公務・公共サービスの質の低下が懸念される。さらには慢性的な超過勤務の現実
を無視し、労働時間を柔軟化させ、実労働時間を変えずに超過勤務手当を削減するという使用者にとって都合の
よい制度は、公務職場における働くルールを崩壊させるものである。
そもそも、私たちの職場は13次にもおよぶ定員削減と2014年に策定された5年間で10%以上とする
「新たな定員合理化計画」により、国民本位の国土交通行政が行えない状況となっている。
そうした課題を改善させるため、国土交通労働組合は公務職場の拡充を求め
三大署名(気象事業拡充・生公連・海洋環境)を旺盛にとりくんだ結果、世論への広がりとともに、
運動が前進していることを実感することで大きな確信へと繋がっている。
「アベノミクス」は大企業に莫大な利益をもたらす一方で、東日本大震災からの復興作業や福島第一原発事故
の除染作業にあたっている労働者をはじめとする労働者の賃金改善には繋がっておらず、最低賃金の地域間格差
や、使用者と労働者との格差が拡大をはじめ、労働者の生活改善は一向に進んでいない。不況の打開にはアベノ
ミクスではなく、賃金の大幅引き上げによる内需拡大こそが必要である。そのためには、民間における最低賃金
の大幅な改善、公契約制度の拡大などにより、労働者が正当な賃金を得ることが重要であり、私たちはすべての
労働者の賃金底上げ、労働法制の大改悪を阻止するため全力でたたかうことを決意した。
労働組合は賃金の引き上げや、労働条件改善のとりくみのみならず、雇い止めなど職場で起こるさまざまな
問題に対して、「疑問」や「不安」の声などを大きく挙げていくことによって、職場環境を改善し、ひいては
社会をより良くしていく大きな役割がある。組合員の要求実現、国民本位の国土交通行政の拡充のため、運動
を旺盛に進めるためには、まず、職場に労働組合の風を吹かせ、なかまを増やすことが重要である。職場にお
けるすべてのなかまと対話を広げ、共感を分かち合い、手をたずさえともに行動していくことが今まさに求め
られている。
その上で、国土交通労働組合は、組合員一人ひとりの要求を実現するため、身近な要求解決はもとより、交
通運輸・建設・公務産別をはじめとする民間労働者と共同し、働くすべてのなかまとともに職場課題の改善、
平和で安全・安心の社会づくりのため、よりいっそう奮闘していくものである。
以上、宣言する。
2015年9月8日
国土交通労働組合第5回定期大会