大 会 宣 言

 国土交通労働組合は、9月11日から12日にかけて、東京都晴海において代議員、オブザーバー、来賓、本部あわせて143人参加のもと第12回定期大会を開催し、1年間のたたかいの総括と今後1年間の運動方針を決定した。

 今年の人事院勧告では、月例給・一時金ともに3年ぶりの引上げとなったものの、月例給は、初任給と若年層の俸給月額の引き上げにとどまり、俸給表全体の改定に及んでいない。急激な物価上昇のもとでは生活改善に遠く及ばずきわめて低額なもので、長引くコロナ禍で奮闘する職員の労苦や、中堅・高齢層への配慮が一切ない。加えて、月例給の引上げがなされたとはいえ、国家公務員の高卒初任給が最低賃金を下回る地域がいっそう顕在化し、生存権を具体化した最賃法の趣旨に反する。また、昨年12月の一時金削減分について、年度をまたいで4月に改正給与法が成立し、6月期の一時金で減額調整されたが、これは不利益遡及であって到底許されるものではない。生活改善が実感できる大幅賃上げや定員外職員の処遇改善、高齢期の生活の保障の実現を労働基本権の全面的回復にむけた運動とも結合させて、積極的に議論を深めて、いっそう奮闘していくことを確認した。

 私たちの働き方をめぐっては、コロナ禍で急速に拡大したテレワークやフレックスタイムなどの「柔軟な働き方」、運用への不安や行政サービスの低下、さらには未払い残業につながる働き方になることを注視していくことを確認した。定年の引上げについては、職場実態に見合ったものとするなど、円滑な定年引き上げと新規採用の確保が両立できるよう、国土交通省当局を追及するとともに、政府・人事院への要求を強化する。

 総人件費削減、及び責任を放棄する公務の民営化阻止のたたかいでは、この間、国土交通労動組合が国会請願署名「国土交通行政を担う組織・体制の拡充と職員の確保を求める署名」にとりくみ、集約数は過去最大の到達点を築いた。当局や査定官庁も体制拡充を認めざるを得ない状況をつくり上げ、気象庁や地方整備局、地方運輸局での純増を勝ちとっている。しかし、自然災害や事故防止への対応など、安全・安心な国土交通行政を遂行するに足る人員増には至っていない。また、職場では、「建設工事受注動態統計調査不正問題」や「知床遊覧船沈没事故」などの国土交通省にかかわる大きな問題が生じている。これらは人員不足という根本的な問題に起因しており、当局に解決させるとともに、当局の責任において国民の信頼を回復させていくことが重要である。大会では、このような状況を打開するため、体制拡充運動を通じて国民の理解と共感を広げ、定員合理化計画の撤回や大幅増員の実現など、体制確立にむけて引き続き奮闘していくことを確認した。

 平和と民主主義をめぐる情勢では、ロシアがウクライナに侵攻し、中国が台湾を挑発するなど世界情勢が緊迫するなか、国内では参院選挙を経て、改憲勢力が3分の2を超えることになり、「戦争する国づくり」を推しすすめる動きが加速している。ふたたび公務労働者を戦争へ加担させないためにも、平和への願いを若い世代に引き継ぎ、平和や民主主義の問題について議論することの必要性を確認した。

 国民本位の国土交通行政と私たちの諸要求を実現させるためには、国土交通労働組合の組織を拡大、強化することは喫緊の課題である。「組織拡大強化3か年計画」のもと、1年目の総括と組織再生にむけたとりくみや課題が報告された。そのなかで、「組合を脱退するに至った理由を分析しひとつずつ改善していくことで、魅力ある組織に生まれ変わり、組織拡大に繋がる」ことなど、熱心で活発な議論を重ねた。国土交通労働組合が一体となり、課題を克服し、すべての支部・分会で立ち止まることなく、組織拡大のとりくみを継続していく。

 国土交通労働組合は、組合員一人ひとりの要求を実現するため、身近な要求解決はもとより、公務産別、交通運輸・建設をはじめとする労働者と共同し、働くすべてのなかまとともに職場課題の改善、平和で安全・安心な社会づくりのため、よりいっそう奮闘していくものである。

以上、宣言する。

2022年9月12日

国土交通労働組合第12回定期大会