大 会 宣 言

 国土交通労働組合は9月5日から19日にかけて、代議員、本部、来賓あわせて155人参加のもと、第10回定期大会を書面にて開催し、これまでのたたかいの総括と向こう1年間の運動方針を決定した。

 大同団結から10年目という大きな節目を迎えた定期大会は、残念ながら、新型コロナウイルス感染症の影響(以下、「新型コロナ禍」)で書面開催を余儀なくされたが、不自由な中においても、代議員をはじめとした多くのなかまの協力により、活発な討論を展開することができた。

 人事院の民間給与実態調査は、一時金の調査を7月で終了し、現在月例給の調査を行っている。現時点で勧告の時期・内容は不明だが、新型コロナ禍による経済活動の停滞や縮小による民間給与が引き下げられている状況のもとにおいて、人事院に対し安易な民間準拠ではなく、労働基本権制約の代償機関としての本来の役割を果たさせるたたかいがいっそう重要となっている。非常勤職員を含め、各職場で自身の健康を危険にさらしながら奮闘している多くのなかまのために、生活破壊につながる賃下げ勧告は許さない運動をすすめていくことを確認した。

 一方で新型コロナ禍と相次ぐ自然災害は、この国の公務・公共サービスの脆弱性を浮き彫りにしている。これは「小さな政府」「官から民へ」の新自由主義的な行政改革、総人件費削減を前提とした定員削減政策の当然の帰結である。各職場でも、業務量の増大にもかかわらず人員が削減され、長時間労働やパワーハラスメントにより心身の不調を訴える職員が相次いでいることが報告された。政府は2020年度からの「定員合理化計画」方針を予定どおりすすめるとしているが、激甚化する自然災害や膨大な業務に対応するには、現在の体制では不十分であり、総定員法の廃止と定員合理化計画の撤回は喫緊の要求である。国会議員の間でも、行き過ぎた行政改革への反省の声が広がっている。私たちは、国民本位の国土交通行政や諸要求を実現するための機運が高まっていることを自覚し、すべての職場の増員と体制拡充運動を、国会請願署名を軸に、職場と地域の両輪で力強くすすめていくことを意志統一した。

 3月以降急速に拡大したテレワークや出勤制限により、職場集会をはじめとした多くの組合活動が大きく制限されたが、各支部・分会では3密を避けた会議運営やWeb・メールを活用するなど、執行委員会や組合員同士の連絡を創意工夫し日々奮闘している。一方でテレワークは、その勤務時間管理の困難さからいっそう、人事評価での能力・成果主義が強化される可能性があり、またリアルなつながりが絶たれることで、職場で疎外感や孤立感に陥るなかまがいることにも目を向けねばならない。今こそ私たちは、働くなかま同士として手を差し伸べ、悩みを聞き、ともに解決していくことを実践することで組織を強く、大きくしていくことを確認した。

 8月29日、安倍首相は辞任を表明した。8年弱に及んだ安倍政権の最大の問題は、多くの国民が反対していたにもかかわらず、戦争法(平和安全保障整備法)と特定秘密保護法を強行し、日本を平和憲法の理念ではなく戦争に近づけたことである。また沖縄の辺野古新基地建設では県民の意思を無視し、「森友疑惑」や「桜を見る会」では説明責任を果たさないなど、民主主義の軽視と行政私物化により日本の政治に大きな傷跡を残した。私たちは、憲法を遵守すべき国家公務員であるがゆえに、ただ言われるがまま従うのではなく、むしろこうした問題に向き合わなければならない。

 国土交通労働組合は、このことを念頭におき、組合員一人ひとりの賃金・待遇・職場環境改善など身近な要求解決はもとより、公務・公共産別、交通運輸・建設をはじめとする労働者と共同し、平和で安全・安心の社会づくりのため、職場と地域の両面から、いっそう奮闘していくものである。

 以上、宣言する。

2020年9月19日

国土交通労働組合 第10回定期大会