国土交通労働組合は、9月4日から5日にかけて、静岡県伊東市において代議員、オブザーバー、来賓、
本部216名参加のもと、5年の節目、次の10年目にむけた第6回定期大会を開催し、
1年間のたたかいを総括するとともに、今後1年間の運動方針を決定した。
東日本大震災以降、熊本地震、相次ぐ台風による集中豪雨など災害が多発し、
日本列島のどこで災害が起こってもおかしくない状況であり、国民の防災意識がかつてなく高まっている
同時に防災官庁である国土交通省に対しても災害対応力の強化が国民から期待されている。
しかし、職場では政府による13次にもおよぶ定員削減と定員合理化計画により、
十分な職場体制が確保されておらず、通常業務もままならないなか、災害対応が増加しており、
被災地の派遣先はもとより派遣元の職場においても超過密労働を強いられている。
私たち国土交通労働組合は、こうした職場の状況を訴え、国民世論の広がりを求めて国会請願の三大署名を
旺盛にとりくむことで、公務公共サービスに対する国民世論を構築してきた。
その結果として、紹介議員が増えたことや海洋環境整備船における国の運航体制の強化など
大きな成果があった。今年から新たに「国土交通省の体制拡充を求める請願署名(仮)」の具体化をすすめ、
更なる連帯共同のとりくみで全国的な世論の支持と理解を広げる運動に奮闘し、力強くすすめていくことを
意志統一した。私たちの賃金・労働条件にかかわる本年8月の人事院勧告は、月例給・一時金ともに
3年連続の引き上げとなるものの、「給与制度の総合的見直し」を促進する
「本府省業務調整手当の段階的引き上げ」により、いっそうの地域間格差を拡大させることや、
定員外職員や再任用職員の賃金・処遇改善には全くふれなかったことは断じて認められない。
さらに、扶養手当の「見直し」にいたっては、「女性の活躍」をうたう一方で、安価な労働力を拡大させ、
手当額全体の引き下げをねらう政府・財界の目論見も明らかとなっており私たちは注視し、反対していく必要がある。
また、公務労働者の権利を守るたたかいでは、「公務員賃下げ違憲訴訟」の控訴審が9月12日に結審となり、
早ければ年内判決が想定されることから、安心して暮らせる賃金・労働条件、私たちの権利のため、運
動を強めることを確認した。7月10日の参議院選挙では、国民生活切り捨ての政治や安保法制を
強行する改憲勢力の暴挙に国民の怒りが結集した結果、野党統一候補が擁立されるなど、
政治を変える歴史的な市民運動となった。しかし、自民・公
明与党は改選議席数の過半数を上回る議席を獲得し、改憲勢力としては衆・参両院で3分の2以上を占める結
果となった。安倍政権は、昨年成立した安保法制(戦争法)により南スーダンへの国連平和維持活動(PKO)
において、「駆けつけ警護」の訓練を受けた自衛隊を派遣させようとするなど「戦争ができる国」にむかって
いる。また、「未来への投資を実現する経済対策」により、これまで破綻したとされるアベノミクスをさらに
加速させ、今秋の臨時国会では、災害復興問題、労働法制改悪、沖縄米軍基地問題、TPP批准などの国民生
活切り捨ての攻撃をすすめようとしている。私たちは、これらの攻撃に対抗するため市民運動や地域でのとり
くみに積極的に結集していかなければならない。
私たち国土交通労働組合は、「組合員の心にひびく運動」を意識し、職場内の要求実現や問題を解決するた
めの行動により、職場のなかまが自発的に結集してくる組合にすることや、職場内で仕事を教えることと同様
に、組合組織をつなぎ、なかまづくりを基礎とした「組合員の心によりそうとりくみ」をすすめながら、多く
のなかまを迎え入れ、職場に力強い労働組合の風を吹かせることが、今まさに求められている。
さらに、交通運輸・建設産別をはじめとする民間労働者と共同し、働くすべてのなかまとともに労働条件の
改善、平和で安全・安心の社会づくりのため、よりいっそう奮闘していくものである。
以上、宣言する。
2016年9月5日
国土交通労働組合第6回定期大会