国 土 交 通 労 働 組 合
書記長 笠松 鉄兵

12 月 10 日人事院は、高位号俸からの昇格時飛びつき号俸の引き下げを内容とする、人事院規
則9-8の制度「改正」を行った。今回の制度「改正」について、人事院は「50 歳代後半層にお
ける給与水準の上昇抑制措置として12 人勧で勧告したこと」、
「官民格差あるいは世代間格差を是正するためであること」を根拠として説明している。
この間、国土交通労働組合は国公労連に結集し、①厚生労働省の賃金構造基本統計調査のみを
もとにした調査では、調査対象が大きく異なるため、格差を算出することは適当でないこと、②
公務と民間における、人事管理の違いをふまえた検討が必要であること、を一貫して主張し、反
対の意を表明してきた。しかし、人事院がこうした主張を無視し、職務給原則に反する、まった
く道理のない「年齢にのみ着目した改悪」を強行したことは、断じて容認できない。
人事院は、「公務と民間では昇進管理等の人事運用に相違もあることから、年代別の給与差が
一定程度生じるのはやむを得ない」ことを勧告のなかで認めており、「地方出先機関においては各
職務給の高位号俸者が多数存在している」ことも認識している。それにもかかわらず、今回の措
置が強行されることで、地方出先機関に勤務する多くの職員が対象となり、地方と中央の格差を
ますます助長させるものとなる。
公務職場では、政府の「国家公務員総人件費2割削減」、さらには復興財源確保の名のもとで、
4月から大幅な賃金引き下げが強行され、
11 月には退職手当の削減までもが一方的に強行されて
いる。こうしたなかで、今回の制度改悪が実施されれば、公務職場や公務労働者の生活が破壊さ
れるばかりか、国民の安全・安心を守る行政サービスの崩壊につながる危険性も十分考えられる。
政府は 12 人勧の取り扱いにかかわって、高齢層の賃金抑制について重要な課題としつつも、
給与改定・臨時特例法の実施により高齢層に厳しい減額措置が行われていることを理由に、事実
上勧告を無視している。加えて、きわめて不当な宿舎使用料の引き上げでさえ、給与の賃下げを
ふまえた経過措置などが講じられている。そのことを鑑みれば、人事院だけが制度「改正」を行
う道理はまったくない。中立・第三者機関さらには、労働基本権制約の代償機関としての役割を
投げ捨て、総人件費削減を先導している人事院の姿勢に強く抗議する。
国土交通労働組合は、国民の安全・安心を守り、真に国民のための行政サービスを提供するた
めにも、憲法に基づく労働基本権の回復にむけ、組合員をはじめ国土交通省に働くすべてのなか
まとともに奮闘する。

以上