~関越道ツアーバス事故にあたって~
国土交通労働組合
書記長 笠松 鉄兵
去る4月29日午前4時40分頃に関越自
動車道において発生した夜行高速ツアー
バス事故は、乗客7名が死亡、乗員を含めて39
名が重軽傷を負うという、かつてな
い痛ましい事故となりました。
国土交通労働組合は、亡くなられた方々のご冥福と負傷された方々の一日も早い回
復を心よりお祈り申し上げるとともに、事故原因の徹底した究明と、再発防止に向け
た対策を政府及び関係機関などに対し、強く求めるものです。
今回の事故にあたっては、多くの報道機関が指摘しているように、背景には行き過
ぎた規制緩和により貸し切りバス事業者の過当競争が激化し、運賃・料金のダンピン
グが横行、これによる運転者(労働者)の労働条件の著しい悪化と事業者の法令遵守
の欠如等が招いた結果であると考えます。こうした政策を推し進めてきた政府及び監
督官庁である国土交通省、厚生労働省などの責任はきわめて重大です。
さらに言えば、
こうした規制緩和は、
貸し切りバスに限らず、
タクシー、
トラック、
航空など、すべての交通運輸分野において導入されており、国民が安全・安心に移動
する権利(交通権)を保証する観点からも、政府及び監督官庁は早急に必要な見直し
を含めた対策を講ずるべきです。
一方、報道では貸し切りバス事業者への監査体制の強化を求める声もあがっていま
すが、政府は総人件費削減の
名のもとで、国家公務員の
大幅削減や新規採用の抑制、
地方出先機関の廃止や独立行
政法人の見直しなどを強力
に推し進めようとしており、
これらのことは事故の再発防止の観点からいっても、これに逆行する愚策だと言わざ
るを得ません。
私たちは、これまで、こうした政府の政策が、国民の安全・安心を脅かすものであ
ることから、交通運輸の職場で働く民間の労働者と共闘してこれに強く反対するとと
もに、国民の安全・安心を守る国土交通行政の拡充を求めてきました。
しかし、
政府は私たちの声を無視し、
財界やアメリカの意向に沿って国民犠牲の
「構
造改革」を進めるなかで、規制緩和や公務・公共サービスの切り捨てをよりいっそう
強力に推し進めようとしています。
私たちは、二度とこのような悲惨な事故を起こさないためにも、行き過ぎた規制緩
和の見直しと、国民の安全・安心を守る国土交通行政の拡充を求め、交通運輸労働者
はもとより、利用者である国民のみな
さんと共同し、ともにたたかいぬく決意です。
以上