~2015年人事院勧告にあたって~
2015年8月7日
国土交通労働組合
書記長 山﨑 正人
人事院は8月6日、国会と内閣に対し、一般職国家公務員の給与等に関する勧告と報告を行いまし
た。その内容は、平均1,469円(0.36%)の官民較差があるとして、若年層に重点を置いた俸給水準
の引き上げと、一時金を0.1月分引き上げるものであり、2年連続の賃上げとなっています。
これは、私たちが全労連・国民春闘共闘委員会に結集し、
「まもろう憲法と暮らし ストップ暴走政治 実現しよう!大幅賃上げと雇用の安定」の
スローガンのもとで、2015年春闘を官民共同で旺盛にたたかってきたことの大きな到達点となっています。
しかし、消費税増税や物価上昇で私たちの生活が悪化の一途をたどっており、抜本的な生活改善と
はほど遠いものです。くわえて本年4月以降、「給与制度の総合的見直し」が強行され、平均2%、
高齢層に至っては最大で4%もの賃下げとなっており、多くの職員の賃金は改善されないばかりか、
現給保障が終了する3年後には実質的な賃下げとなるため、「給与制度の総合的見直し」を
中止・撤回させない限り、民間給与の賃上げが公務員給与に反映されないという事態が
続くこととなります。さらに、人事院は、劣悪な労働条件下で国土交通行政を担っている
定員外(非常勤)職員や再任用職員の賃金や労働条件改善にも言及せず、到底容認できるものでは
ありません。いま、社会問題となっているのは劣悪な労働条件におかれている非正規労働者が
増大していることであり、公務が率先して定員外職員や再任用職員の労働条件改善を早急に
はかることが果たすべき重要な役割です。また、人事院は2度の政府の要請に応じて、
原則すべての職員への「フレックスタイム制」導入の勧告を強行しました。私たちは、
この制度が長時間労働によるただ働き残業の蔓延と労働強化や混乱を職場にもたらし、
公務・公共サービスを低下させることから導入に強く反対してきました。
しかし、人事院は、私たちの声を無視し、まともな説明も行わないまま、政府に追従し、一方的に
労働条件の変更を勧告に盛り込んだことは、「公平」「中立」な第三者機関としての役割を
自ら放棄し、政府の下請け機関に成り下がったものに他ならず、断じて認めることはできません。
私たち国土交通労組は、国家公務員の賃金が625万人の労働者に影響することから、
すべての労働者の賃上げ、賃金の地域間格差の是正と景気回復をめざし、
全国各地で広範な労働者・国民と共同のとりくみをすすめてきました。くわえて、
官民を問わず、憲法のもとで保障された労働者の権利が蔑ろにされるなかで、
「公務員賃下げ違憲訴訟」をはじめとしたとりくみへの結集を強めてきました。
いま政府に求められていることは、長引く不況から脱却し、景気回復を確実に実施するためにも、
「総人件費削減」方針及び「給与制度の総合的見直し」を即時中止・撤回し、
国家公務員の大幅賃上げを実現させるとともに、すべての労働者の賃金引き上げの流れを
創り出すことです。引き続き、交通・運輸、建設産業の労働者、公務・公共サービスにかかわる
労働者とともに、官民共同のたたかいをくり広げ、大きな国民世論を築くことで公務労働者の
労働条件改善はもとより、すべての労働者の賃金・労働条件改善をはじめとする要求の
実現をめざします。
そのためにも、全国の組合員のみなさんをはじめ、国土交通省に働くすべての労働者のみなさん
に私たちの運動への結集を呼びかけるものです。
= 以上=