国土交通労働組合
書記長 山﨑 正人
安倍自公政権は、憲法違反である「平和安全法制整備法」と「国際平和支援法」(以下戦争法案)
を 15 日の衆議院特別委員会に続き、16 日、衆議院本会議においても与党の数の横暴により採決
を強行した。国土交通労組は、この強行採決に満身の怒りを持って抗議する。
この戦争法案をめぐっては、憲法学者らでつくる「国民安保法制懇」が「数多くの重大な欠陥
を含む憲法違反の法律」として廃案を求める声明を発表したことをはじめ、国民世論の6割以上
が今国会での成立に「反対」、8割以上が法案の内容を「十分に説明していない」とする状況であ
ること、さらに、元自民党幹部からも戦争法案に対する批判があがるなど、国民の圧倒的多数が
支持してないことが明らかとなっている。
それにも関わらず、この時期に安倍首相が強行採決したことは、国会を95日間延長させること
で、いわゆる「60日ルール」により参議院議決がない場合でも「みなし否決」とさせ、衆議院で
の再議決に持ち込もうとするなど、国会運営のルールを悪用するものであり、政権党として許さ
れない行為である。また圧倒的多数の国民の声を無視した強行は議会制民主主義を冒涜するもの
である。このことは、民主主義を完全に否定し独裁政治へと変質させるものであり、太平洋戦争
などの悲惨な過去に逆戻りさせる蛮行と言わざるを得ない。
私たち国土交通省の職場においてはこの戦争法案が成立すれば、いつでも、どこでも政府が進
める戦争に加担させられることは火を見るより明らかである。現行法でも自衛隊法第 101 条にお
いて「地方航空局、航空交通管制部、気象官署、国土地理院は相互に常に緊密な連絡を保たなけ
ればならない」と明記され、戦争と背中あわせの状態にある。
また、実際に戦争が起きれば戦前のように、気象情報は国民に伝えられず、港湾・空港は軍事
活動の拠点となることは明白である。
さらにこうした戦争協力は、公務職場にとどまらず医療、物資輸送、施設建設などに関係する
民間事業者や労働者にも及ぶことになると同時に、有事の際には、憲法で保障された国民・労働
者のあらゆる権利が制限されることは、過去を振り返っても明らかとなっている。
国土交通労組は、この間、中央、地方で展開される戦争法案廃案にむけたあらゆる行動に、組
織の総力を挙げて結集してきた。私たちは憲法第99条による憲法遵守の義務を負う公務員として、
また、関連する産業の労働者のいのちと暮らしを守る立場として、戦後70年という節目にあたり、
二度と戦争の過ちを繰り返さない強い決意のもと、これからの運動も引き続き強化する。
憲法第 9 条に違反し、アメリカが行う戦争に荷担する戦争法案を、民間労働者のなかまととも
に、さらには広範な国民のみなさんとともに、この法案が廃案になるまで、組織の内外において
全力でたたかいぬくものである。
以 上2015