~「総人件費削減方針」 「総人件費削減方針」「機構・定員削減方針」の閣議決定に 機構・定員削減方針」の閣議決定に 機構・定員削減方針」の閣議決定にあたって(抗議声明)~

 

さる7月 25 日、政府は「国家公務員の総人件費に関する基本方針(以下、「総人件費削減方針」)」および「国
の行政機関の機構・定員管理に関する方針(以下、「機構・定員管理削減方針」)」を閣議決定しました。
これらの決定が、国民の安全・安心の確保をはじめとする行政サービスの切り捨てや、さらなる職場の疲弊、
職員の健康破壊に拍車をかけることは明白であり、到底容認できるものではなく、厳重に抗議します。
「総人件費削減方針」では、「厳しい財政事情に鑑み、職員構成の高齢化や雇用と年金接続に伴う構造的な人件
費増加を抑制するとともに、簡素で効率的な行政組織・体制を確立することにより、総人件費の抑制を図る」「府
省の枠を超えた戦略的・機動的な人材配置の実現を目指す」などとしています。
政府は、財政悪化の真の原因を覆い隠すため、言われなきバッシングも駆使しながら、その責任があたかも現
場の公務員にあるかのように喧伝し、「公務員総人件費」が財政悪化の根源であるとして国民目線をかわそうとし
ています。そうしたまやかしの対策に終始し、財政赤字の抜本的な対策は何ら講じようとしていないことが大問
題であることを認識すべきであり、この責任を公務現場のみに押しつけることは許されるものではありません。
さらに、現在、人事院が検討している「給与制度の総合的見直し」は、恒久的な賃下げを狙う政府の圧力が背
景にあることは言うまでもなく、安倍首相自身が 14 春闘で財界・企業に対し、「賃上げ」要請を行ったこととも
矛盾する施策を行おうとしています。
長引くデフレ不況から脱却するためには、公務労働者も含めたすべての労働者の賃上げで景気を回復していく
ことが求められているにも関わらず、矛盾だらけの合理性のない政府方針は直ちに撤回すべきです。
一方、「機構・定員管理削減方針」では、機構管理として「既存機構の合理的再編成により対処することを基本
とするとともに、既存機構の不断の見直しを図り、政府全体として戦略的な機構配置を実現する観点から、政策
の重要度等を踏まえた機構の重点配置及び府省の枠を超えた機構再配置を推進する」、定員管理として「平成 27
年度以降、5年ごとに基準年度を設定し、府省全体で、対基準年度末定員比で毎年2%(5年で 10%)以上を合
理化することを基本とする」とする方針が打ち出され、行政需要の如何に関わらず将来にわたる結果ありきの機
械的な定員削減をすすめるものとなっています。
この間、12 次にわたる「定員削減計画」が強行されるもとで、公務の職務内容は年々高度化・複雑化し、そう
した状況から公務職場では長時間過密労働が蔓延し、職員の健康や生活に重大な悪影響をおよぼしている実態が
生まれています。また、新規採用の抑制が年齢構成の歪みを生み、業務分担の偏りや技術・知識の伝承などにも
多大な影響をおよぼし、国民が求める行政サービスの充実どころか、その提供さえも困難な状況に陥りつつある
職場実態からすれば、これ以上の定員削減は断じて許されるものではありません。さらに、業務の見直しでは、
総務省が決定した「国の行政の業務改革に関する取組方針」にもとづいて行うとされ、「民間能力等の活用」方針
によって、「民営化」「独立行政法人への移管」「地方公共団体への移管」などで現在の国の機関による業務の実施
主体を見直していくとされています。この「見直し」のねらいは、「公務の民間開放は 50 兆円のビジネスチャン
ス」と言われてきたように、財界の求めに応じた公務の民間開放を着実に推進するものに他ならず、公務・公共
サービスが財界・大企業の儲けの対象に変質させられるものです。
国土交通行政の役割と責務は、東日本大震災からの復興、首都直下型地震、東海・東南海・南海地震や台風・
局地豪雨など自然災害への備え、関越自動車道での高速ツアーバス事故、JR北海道の相次ぐ列車事故などによ
る交通運輸の安全確保、航空の安全確保や利便性向上など、さまざまな国民のニーズに応え、安全・安心を守っ
ていくことです。私たちは、減らされ続ける定員のなかで、全国各地の職場で職員一人ひとりの不断の努力によ
って国土交通行政を支えています。そうした努力を踏みにじるような「総人件費削減」「定員削減」は到底許され
るものでありません。
いま、政府がなすべきことは、東日本大震災からの復興の加速化をはじめ、国民の生活と権利を守り、安全・
安心なくらしを支える公務・公共サービスの向上をはかることです。そのために「総定員法」「行政改革推進法」
など体制強化の妨げとなっている法律を廃止し、大幅増員を行って公務・公共職場の体制を拡充することです。
国土交通労働組合はこうした政府・財界の策動を許さず、国民の生命と財産、安全・安心を守るため、国土交
通省内で働くすべてのなかまをはじめ、交通・運輸産業、建設産業で働く労働者、公務・公共サービスにかかわ
る労働者とともに、全力で奮闘することを表明します。

2014 年7月 30 日
国土交通労働組合中央執行委員会