国土交通労働組合
書記長 笠松 鉄兵
11月26日、政府・財務省は、①宿舎に係る歳出に概ね見合う歳入(使用料収入)を得るため、駐車場を含む
国家公務員宿舎使用料を2014 年 4 月から順次概ね2倍弱まで増加させる、②全国 10,684 住宅のうち、
昨年 12月にとりまとめた「国家公務員宿舎の削減計画(以下、削減計画)」で既に廃止が決定された
2,393 住宅を含め、合計5,046 住宅を廃止することにより、全体で5.6 万戸程度削減する、
ことを主旨とする宿舎制度の改悪を公表した。これを受けて、翌27 日には、岡田副総理が独立行政法人宿舎についても同様の措置を講ずると発表した。

国家公務員宿舎は人事院勧告にも含まれる事項であり、重要な労働条件のひとつであるとして、
私たちは財務省当局に事前の十分な説明と交渉配置を求めてきた。にもかかわらず、何ひとつ私たちの
意見を反映しないまま最低限の説明を行っただけで、過去に例のない大規模な改悪を短期間に
かつ一方的に決定した今回の措置は、到底容認できるものではない。

削減計画では、国家公務員宿舎については「福利厚生的な貸与は認めない」として、
5類型による入居者の分類が示されているが、このことは、逆に言えば「宿舎入居者は、
福利厚生目的ではなく公務の要請に応じて入居している」と明示していることに他ならない。

一方、私たちの職場は、離島・へき地、山間部も含めて全国各地に所在しており、
国民の安全・安心をまもるために、全国異動も含めた広範かつ頻繁な異動を余儀なくされ、
これに伴う単身赴任者も多く存在している。このような職場環境において、
全国一律の行政サービスを提供する業務執行体制の基盤として、宿舎の確保は必要不可欠であり、
人事異動と宿舎の設置はセットで進められてきた経緯がある。そのような背景事情や公務の要請に
応じて入居しているという事実を考慮せず、行政刷新会議による事業仕分けや世論を理由とし、
さらには政府が「身を切る改革」をアピールするために宿舎制度の大改悪を強行したことに道理はなく、
政府・財務省に断固として抗議するものである。
公務職場においては、一律機械的な定員削減や大幅な新規採用抑制が行われている一方、
行政ニーズの高度化・多様化により職務の複雑・困難・繁忙の度合いが増している。
とりわけ東日本大震災という未曾有の大惨事を経験したなかで、国土交通行政に対して国民の安全・
安心を求める声は大きく、職場のなかまは多大な責務を担いながら職務を遂行している。
このような状況にもかかわらず、本年4月からは、憲法違反の「国家公務員の給与の改定及び
臨時特例に関する法律」によって、4.77 %~ 7.77 %もの大幅な国家公務員賃金引き下げが
強行されているばかりか、11月16日には「国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための
国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案」がわずか一日の審議で成立し、
平均約403 万円もの退職手当の大幅削減までもが一方的に強行されようとしている。

このような民主的な手順を無視した政府による数々の暴挙は、公務職場や国家公務員労働者の
生活を破壊し、ひいては国民の安全・安心をまもる行政サービスを崩壊させかねない重大な問題である。

国土交通労働組合は、引きつづき真に必要な国民のための行政サービスの提供のためにも、
このような公務労働者の職場と生活の破壊を許さない国公労連のとりくみに最大限結集し、
組合員とともに奮闘する。
以上