国民の安全・安心確保に逆行する定員削減は許さない
~新たな「定員合理化目標数」の決定にあたって(抗議声明)~
6月28日、政府・内閣人事局は「令和2年度から令和6年度までの定員合理化目標数について」を各府省に対して通知した。今回の通知は、2014年7月25日に閣議決定した「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」を具体化し、新たに2020年度から2024年度までの5年間の「合理化目標数」を決定したものである。この決定は、国民の安全・安心の確保をはじめとする行政サービスの切り捨てに他ならない。さらには、連年の定員削減のもとで職員は心身ともに疲弊し、「職場に人が足りず、増員してほしい」、「もうこれ以上の定員削減は仕事も生活も成り立たない」など、全国のなかまの心の叫びに背をむけるものである。職場をよりいっそう疲弊させ、職員の健康破壊に拍車をかけることは明白であるこの度の決定は、到底容認できるものではなく、満身の怒りを込めて断固抗議する。
定員管理については、「5年ごとに基準年度を設定し、府省全体で、対基準年度末定員比で毎年2%(5年で10%)以上合理化する」とし、内閣人事局が「合理化目標数」を定め、永続的に「定員合理化計画」を策定するとしている。これは行政需要の如何にかかわらず将来にわたり一律機械的な定員削減をすすめるものであり、行政サービスの維持向上という観点からも重大な問題があるといわざるを得ない。
13次にわたる「定員削減計画」が強行される一方で、公務の職務内容は高度化・複雑化し、業務量も増大している。そのため長時間過密労働が蔓延し、職員の健康や生活に重大な悪影響を及ぼす実態に陥っている。また、新規採用の抑制が年齢構成の歪みを生み、業務分担の偏りや技術・知識の伝承などにも多大な影響を及ぼしている。こうした職場実態は、国民が求める行政サービスの充実どころか、その提供さえも困難な状況となっている。
国土交通行政の役割と責務は、地震や豪雨など自然災害への備え、航空、鉄道、船舶、自動車など交通運輸の安全確保や利便性向上など国民のニーズに応え、安全・安心を守ることにある。
国土交通行政にかかわる職員は、定員が減らされ続けるきびしい職場環境のなかにあっても、全国各地の職員一人ひとりの不断の努力によって国土交通行政を支えているが、それは長時間過密労働や業務期限など重圧のなかで、職員の健康や家庭の生活さえも犠牲のうえで行われている実態がある。こうしたなかで、国土交通労働組合は、国公労連に結集し、「新たな定員合理化計画阻止」の署名にとりくんだほか、国土交通行政の体制拡充をめざし、「国土交通省の機構拡充・職員の確保を求める請願署名」、「気象事業の整備拡充を求める請願署名」の個人署名や国会議員への紹介議員要請に旺盛にとりくみ、多くのなかまが職場実態を国民や国会議員に訴え続けてきた。その結果、体制不足に悪影響があるとの理解が多くの国民はもちろん、与野党を問わず、国会議員にも大きく広がっている。また、国公労連に結集した内閣人事局交渉や6・21官邸前行動では、職場実態と体制拡充の必要性を直接、政府・内閣人事局にも訴えてきた。にもかかわらず、今回の決定は、職場実態や私たちの訴えや思い、さらには、国民に背をむけた政府・内閣人事局の不誠実きわまりない対応であり、到底許されるものではない。
いま、政府がなすべきことは、国民の生活と権利を守り、安全・安心なくらしを支える公務・公共サービスの向上をはかることである。よって、総定員法を廃止するなど、定員管理政策を抜本的に見直し、大幅な増員により公務・公共職場の体制を拡充することである。
国土交通労働組合は、こうした政府の策動を許さず、国民の生命と財産、安全・安心を守るため、国土交通省内で働くすべてのなかまをはじめ、交通・運輸産業、建設産業で働く労働者、公務・公共サービスにかかわる労働者とともに、全力で奮闘することを表明する。
2019年7月2日
国土交通労働組合中央執行委員会