国土交通労働組合
書記長 山﨑 正人
JAL 不当解雇撤回訴訟について最高裁判所は、客室乗務員については2月4日付、運航乗務
員については2月5日付で、上告棄却・上告不受理の不当な決定を行った。
昨年8月 28 日に東京地裁が JAL 管財人の行った不当労働行為を認定したことや、1月 28
日に大阪地裁が JAL 客室乗務員の解雇を無効とした判決を踏まえれば、いずれの決定も上告か
らきわめて短時間で行われたことは、司法が果たすべき役割を放棄したものと言わざるを得ない。
私たちはこの不当きわまりない決定に対し、満身の怒りを込めて強く抗議する。
これまでの審理の過程では、昨年6月の東京高裁判決において、使用者である JAL 側が解雇
時点での余剰人員数を立証しておらず、他に解雇を回避する手段がありながら、会社が敵視して
きた労働組合幹部を中心とした解雇を強行したことが明らかとなった。こうした明白な事実があ
るにもかかわらず、裁判所は会社更生手続き中の整理解雇であるため、本件解雇は有効とする不
当な判決を下していた。
言うまでもなく、最高裁判所の役割は、憲法の精神に則り、慎重に審理を行い、問題点を洗い
出したうえで、高裁の判決を見直すことにある。しかし、最高裁判所は、上告人側の審理書類が
到達してからわずか4ヶ月足らずで決定を行った。このことは到底まともな審理とはいえず、
「正義ある公正な判断」のかけらもない、労働者の権利を蔑ろにした結論ありきの不当な決定と
言わざるを得ない。
さらに言えば、今回、東京地裁・東京高裁の判決を確定させたことは、会社更生計画遂行や企
業利益追求が優先とされ、解雇自由の社会を肯定するものであり、これに手を貸す最高裁の姿勢
は政府・財界の立場を追認するものであり、厳しく批判されるべきである。
この間、国際労働機関であるILOも、この訴訟に強い関心を寄せ、運輸関係の国際労働組織か
らも解雇された労働者の職場復帰を強く求め、政府と JAL に2度、早期解決をはかるよう勧告
している。
いま、我が国では、政府・財界・大企業による労働者イジメが横行しており、JALに限らず、
社会保険庁においても国家公務員の分限免職が強行されるなど、国家的不当労働行為が横行して
いる。こうしたなかで、多くの労働者が法廷闘争に立ち上がってきたが、司法反動化のもとで、
裁判所は労働者・国民よりも国家権力を擁護する姿勢を強めている。こうした攻撃を跳ね返すた
めには、国内はもとより、世界各国の労働者とも連帯し、国際的な世論を広げていく必要がある。
私たちは安全・安心な国民本位の国土交通行政の確立を求めているが、JAL はこの解雇の1
年後に、客室乗務員の新規採用およびパイロットの訓練を再開している。ベテランが去った職場
では「経験・技術の伝承」ができず、この間、毎年数百人単位の離職が続いており、大幅な人員
不足を招く結果となっている。いまこそ、解雇されたすべての労働者を職場に復帰させ、安全を
第一とした運航体制を確立すべきである。
最後に、私たちはこの JAL 不当解雇をすべての労働者にかけられた攻撃ととらえ、引き続き
本件の自主的解決にむけた各種行動に最大限結集する。また、労働法制大改悪をくいとめ、すべ
ての労働者が安心して働ける社会の実現をめざし、奮闘する決意である。
以 上