国土交通労働組合
書記長 山﨑 正人
本日、東京地裁民事第19部(古久保正人裁判長)は、憲法第28条ですべての労働者に保障
された労働基本権の代償措置である人事院勧告をも無視した給与減額について、憲法には違反し
ないとして合憲と判示し、私たちの請求を全て棄却するという不当判決を言い渡した。私たちは
この不当きわまりない判決に対し、満身の怒りを込めて強く抗議する。
政府は、2012年4月分の給与から、人事院勧告を無視して、給与を平均7.8%(一時金は
一律9.77%)もの減額を実施した。2年間の給与減額は一人あたり平均で100万円にもなる。
こうした暴挙に対し、2012年5月25日、国公労連と私たち組合員370名は、差額賃金の
支払いと損害賠償さらには国公労働者の権利回復を求めて東京地裁に提訴した。
不当にも、国家公務員の労働基本権が制約されている現行制度においては、人事院勧告が唯一
の賃金決定ルールであり、過去の判例では、そのことで国家公務員の労働基本権の制約が憲法第
28 条に違反しないとされてきた。したがって、国は使用者責任として団体交渉を尽くさず、私
たちに一方的な不利益を押しつけたこの「給与臨時特例法」は、明確に憲法とILO条約に違反
するものである。
にもかかわらず、今回の判決は、政府が今後も財政難を理由に人事院勧告制度を無視し、労働
組合との交渉・合意をせずに一方的に給与を引き下げることを可能とするものであり、国家公務
員を無権利状態に陥れることにほかならず、断じて受け入れることはできない。
国土交通労組は原告団150名を先頭に、国を相手に2年余にわたり、この「公務員賃下げ違
憲訴訟」に結集し職場と地域のなかまとともにたたかってきた。裁判での口頭弁論では、私たち
がいかに不当な給与減額によって、自らと家族の生活設計が狂わされてきたことや、私たちが東
日本大震災からの復旧・復興をはじめ、国民のいのちとくらしをまもるため、懸命に汗を流して
働いてきたことを繰り返し訴えてきた。しかし、政府は「給与臨時特例法」は2年間の時限立法
としつつ、給与削減の継続・延長の可能性に言及するという不当な対応に終始してきた。こうし
たなかで、賃下げの違法性とあわせ、国家公務員の賃下げは多くの労働者の賃金改悪につながる
ことを広く訴えながら、公務員バッシングを跳ね返す世論づくりを構築してきた。その結果、「措
置は一時的なものである」ことを言及させ、賃下げを2年間で終了させたことは、私たちが築い
た貴重な到達点である。
今後、たたかいは控訴審の場へと移る。この裁判は、国公労働者の権利を取り戻すきわめて重
要な裁判であり、私たちは何としても勝利しなければならない。そのためにも、私たちには引き
続き、誰もが安心して働き、暮らせる社会の実現をめざし、国土交通省内ではたらくすべての労
働者をはじめ、交通・運輸産業・建設産業ではたらく労働者、公務・公共サービスに関わる労働
者とともに、官民共同のたたかいの輪を広げ、国民世論を大きく構築していくことが求められて
いる。
公務労働者の労働基本権の全面回復を実現させるためにも、国土交通省内ではたらくすべての
労働者のみなさんへ国土交通労働組合への結集を呼びかけ、組織拡大・強化をはかりつつ、全国
のなかまとともに、職場・地域でよりいっそうの奮闘を呼びかけるものである。
以 上