大 会 宣 言

 国土交通労働組合は、9月 10 日から 11 日にかけて、東京都内において代議員、オブザーバー、来賓、本部あわせて157 人参加のもと第 13 回定期大会を開催し、1年間のたたかいの総括と今後1年間の運動方針を決定した。

 今年の人事院勧告は、26 年ぶりに1%近い月例給の引上げ(平均 3,869 円)を実現させ、低賃金に苦しむ若年層の俸給月額に厚く配分するなど一定の配慮がなされたものの、中堅・高齢層も含む俸給表全体の大幅な改善には至っておら ず、全年代において影響を受けている物価上昇にも追いつかない金額であり、おおいに不満が残る内容であった。この 間、人事院は、困窮する生活を改善させる春闘期の緊急勧告の要求にも応じないばかりか、引き上げられた高卒初任給 の時給換算でも最低賃金を下回る地域が未だに存在するなかで、さらなる改善が急務となっている。一方で、私たちが 地域から要求してきた交替制職場での 15 分単位での年次休暇取得、夏季休暇の取得期間拡大の要求実現は大きな成果で ある。

 また、「給与制度のアップデート」の骨格案では、定年延長をふまえた生涯賃金の給与カーブは議論を継続するとし て明らかにせず、能力・実績主義の強化により、職員間の賃金格差をさらに拡大させる内容が含まれているほか、地域 手当や諸手当の見直しなどが盛り込まれていることから、私たちは、国公労連の運動に結集し、地域一体となって運動 をすすめ、生活改善を実感できる大幅賃上げや定員外職員の処遇改善にむけて奮闘していくことを確認した。

 新たに導入された定年延長制度では、定年延長者の給与や諸手当が7割に抑えられていることにくわえ、暫定再任用 者や従来の短時間再任用者の給与水準は定年延長者よりさらに低く抑えられており、生活関連手当が支給されていない なか、本大会では物価高騰による厳しい生活実態についてあらためて報告された。年金接続までに早急な処遇改善をは かるためにも、関係当局に対するとりくみをいっそう強めていかなければならない。

 政府による総定員法や定員合理化計画が推し進められたことで、すべての職場で人員不足が叫ばれるなか、国土交通 行政においても公務が担ってきた様々な経験や知識が継承されず、国民の安全・安心が脅かされている。私たちは「国 土交通行政を担う組織・体制の拡充と職員の確保を求める署名」(体制拡充署名)の国会請願採択にむけて全力でとり くみを強めてきた。このようななか、与野党問わず3年連続 100 人を超す紹介議員を獲得するとともに、当局や査定官 庁も体制拡充を認めざるを得ない状況に追い込み、国土交通省では5年連続の純増を勝ちとっている。一方で、2024 年 6月頃には新たな定員合理化計画による削減目標数の策定が想定されていることから、体制拡充署名の運動を基軸に国 民の理解と共感を広げるとともに、新たな定員合理化計画の策定を許さないたたかいに全力をあげることを決意した。 平和と民主主義をめぐる情勢では、中国の台湾有事や北朝鮮のミサイル発射訓練など、新たな脅威に対する防衛策と して、政府は昨年末に「防衛3文書」を閣議決定した。これにより、防衛費予算は5年間で 43 兆円と大きく膨れ上がり、 復興特別所得税や建設国債などを財源として検討している。また、政府は、武力攻撃事態などに備え、自衛隊や海上保 安庁の要望にもとづき、関係府省と連携して空港・港湾などの公共インフラの整備・機能強化がすすめられている。私 たちは、こうした平和や民主主義の課題についての議論を深め、国民のいのちと生活をまもる国民的運動に結集するこ とを確認した。

 国民本位の国土交通行政の確立と私たちの諸要求を実現させるためには、国土交通労働組合の組織拡大強化が喫緊の 課題となっている。「組織拡大強化3か年計画」のもと、2年目の総括として、組織再生にむけたとりくみや課題など が報告された。最終年となる 2023 年度においては、国土交通労働組合が一体となってすべての地方協議会・支部・分会 において、署名活動をはじめ、学習やレクリエーションなどの目に見える組合活動を実践していくとともに、時代に即 した魅力ある労働組合をめざしていくことを意志統一した。また、組織拡大強化のとりくみは、組合活動の活性化に直 結するとりくみであるとともに、財政の健全化によってさらなる発展につながることからも、立ち止まることなく、強 い信念を持ってやりぬくことを決意した。

 国土交通労働組合は、組合員一人ひとりの要求を実現するため、公務産別、交通運輸・建設をはじめとする労働者 と共同し、すべてのなかまとともに職場課題の改善、平和で安全・安心な社会づくりのために、よりいっそう奮闘し ていくものである。

 以上、宣言する。

2023年9月11日

国土交通労働組合第13回定期大会