「自動車検査の信頼回復と安心して働ける検査職場をめざす決議」

る11月21日、並行輸入自動車の補助ミラーをめぐる不正車検事案で、自動車検査独
立行政検査法人(以下、検査法人)関東検査部神奈川事務所の主席自動車検査官3名が
「虚偽有印公文書作成」の容疑で大阪府警に逮捕されました。
その後の報道では、3名が並行輸入自動車3台について、不正に国の基準に合格したと
する検査票を作成した疑いが持たれているとしたほか、輸入業者と癒着し、不正が常態化
していた可能性があるとされています。今回の事案の詳細については、現時点では明らか
になっていないものの、事実と異なる内容も報じられているほか、様々な問題が根底に潜
んでいるものと考えられることから、私たちは、今後、検査法人に対し、事実関係を調査
するとともに、再発防止、さらには自動車検査の信頼回復にむけて、具体的な対策を早急
に講ずるよう強く求めるものです。
一方、検査法人は、「事案に関与した職員については懲戒規程に基づき厳正に対応する」
と発表していますが、逮捕されたなかまの直接の声は勿論、十分な調査すらなされていな
い段階であるにもかかわらず、新聞報道を鵜呑みにして、あたかも職員が不正を行ったか
のような発表をしており、私たちは強く抗議するものです。さらに、国土交通省は大臣会
見において、検査法人に対し、文書で対策を指示したとしましたが、国民の安全・安心を
まもる自動車検査は国の責任で実施されるべきものであり、主務省としてあまりにも無責
任なものと言わざるを得ません。
この間、検査法人は、検査職場で発生した多くの組織的な問題に対し、職員の個人責任
を追及する姿勢を強く押し出しています。しかし、今回の事案の背景には審査事務規程の
取り扱いをはじめ、組織的な問題が潜んでいるものと考えられます。言うまでもなく、現
場の職員は組織の中で業務を遂行しており、職員個人側に明らかな過失がある行為でない
限り、組織の責任において対応すべき問題と考えます。にもかかわらず、常に職員個人の
責任が追及されることに対し、厳しい労働環境の中で、日々、業務を行っている全国の自
動車検査職場のなかまから、不安の声が大きく広がっています。
私たちは、国民の安全・安心を支える自動車検査の信頼回復と検査職場で働くなかまが
安心して働けるよう、検査法人に対し、職員の個人責任の追及で再発防止を図るのではな
く、真の原因究明を行うとともに、組織の責任で対応することを求めるとともに、職員を
大事にする組織として、職員が安心して働き続けられる職場として確立させることを強く
求めます。
さらに、私たち労働組合の組織内においても、全国のなかまとの議論を深め、自動車検
査の信頼回復と安心して働ける検査職場の確立を求め、とりくみを強める決意です。
以上、決議します。
2015年11月30日
自動車検査独立行政法人労働組合第1回支部代表者会議