政府は、昨年12 月26 日の地域主権戦略会議において、国の出先機関を廃止し、その
事務・権限を移譲するとした「広域的実施体制の枠組み」の方向性を確認した。
その内容は関西広域連合や九州地方知事会の意向に沿って、地方整備局、経済産業局、
地方環境事務所を当面の移譲対象候補とし、個別の事務・権限ごとに具体的な検討をすす
めていくものとしている。
一方、独立行政法人の統廃合にかかわっては、「無駄遣いの削減」と称して特別会計改
革と一体で検討がすすめられ、自動車検査と登録業務の一体化、研究機関の統合、海技教
育機構と航海訓練所の統合などにより、
102 法人を 65 法人に削減することを1月20 日
に閣議決定した。しかし、その内容は運営費交付金の支出計画や、業務内容の違いなどが
十分議論されないままの単なる「数合わせ」となっている。
この間、政府は「国の出先機関廃止」及び「独立行政法人統廃合」について、極めて不
十分な論議のもとで閣議決定を強行し、今通常国会での関連法案の提出を画策している。
このことは、消費税増税など、あらたな国民負担を強いるために、会期直前に「身を切る
行革」をアピールするというスケジュールの帳尻合わせに他ならない。
言うまでもなく、地方整備局、地方運輸局など国土交通行政の出先機関や、自動車検査
法人、各研究所法人、海技教育機構など国土交通行政に付随する独立行政法人は、いずれ
も国民生活と密接にかかわる業務を担っており、国民の安全・安心に寄与する重要な役割
を果たしている。
いま、さまざまな政府統計が示すとおり、長引く経済不況のもとで、国民所得と消費が
下がり続け、「格差と貧困」が広がり続けている。加えて、未曾有の被害をもたらした昨
年3月の東日本大震災をはじめ、近い将来には東海地震や東南海・南海地震の発生が確実
視されているもとで、災害対策や復旧・復興対策に対する国民不安が増している。
こうした状況のなかで、「国の出先機関廃止」、「独立行政法人統廃合」が強行されれ
ば、国民の安全・安心の確保はもとより、公務・公共サービスの低下を招くことは必至で
あり、このことは、憲法に基づく国の果たすべき役割を放棄するものと言わざるを得ない。
今こそ国民のいのちとくらし、権利を保障するために、国家行政がしっかりと役割を果
たすことが求められる。
私たち国土交通労働組合は、国の責任放棄に他ならない「国の出先機関廃止」、「独立
行政法人統廃合」に断固反対し、国民のための安全・安心な国土交通行政の充実・強化、
拡充をめざし、奮闘する決意をここに示し、決議する。
2012 年2月 14 日
国土交通労働組合第1回中央委員会
内閣総理大臣
野 田 佳 彦 殿
(地域主権戦略会議本部長・行政改革実行本部長